パニック障害の疾患について

パニック障害とは

不安障害の1種である「パニック障害」は20代~30代前半の方に多く見られ、突然パニック状態に陥り、発作が起こる障害です。

症状と発症のきっか

パニック障害は突然パニック発作が起こり、激しい動悸・呼吸困難・震え・異常な発汗などを引き起こす不安障害です。
発作の症状は人によって違いますが、10分~30分程度発作を継続しやすく、何度も繰り返し発症することが特徴です。
動悸や呼吸困難から病気を疑い病院で診察してもらっても、心電図に異常が見られることはありません。パニック発作が起きたからといって必ずしもパニック障害と診断されるわけではではありません。
いつどこで発作が起こるか分からない恐怖感で頭がいっぱいになり、常に発作への不安を抱えていてパニック発作を繰り返すことでパニック障害になるのです。

発作のきっかけは、「予期不安」と「広場恐怖」の2つの状態に陥った時に起きる場合が多いです。
予期不安とは、いつ発作が起きるのか分からない状態が続き不安になることで発作のきっかけとなるものです。
一方、広場恐怖は繰り返すパニック発作の恐怖から、人が多い場所や前に発作が起きた場所、家から離れた場所などに行くと発作が起きます。広場恐怖になると外出が難しくなり、通院でさえもできなくなる方もいます。
また、パニック障害の症状が繰り返され慢性化すると、うつ病を併発するリスクが高まります。これは「パニック性不安うつ病」と呼ばれ、症状の改善が遅れてしまう原因ともなるため注意が必要です。

原因

繰り返される発作は不安や恐怖などで起きるものですが、最初に発作が起きる原因はストレスや過労であると考えられています。
過度なストレスを感じると、脳内の伝達機能を担う物質であるノルアドレナリンが増えて神経が異常興奮します。異常興奮状態になるとストレスに対する防衛反応が過敏になり、激しい動悸や呼吸困難などを引き起こすのです。
また、ノルアドレナリンが増えることによって、精神を安静にして神経をコントロールするセロトニンが不足します。セロトニンが不足すると脳機能の低下や心の不安定さを招いてしまうので、パニック発作へつながる原因ともなります。

治療法

症状改善のための治療は主に精神療法と薬物療法の併用によって行われ、パニック障害の特徴や発作について理解しながら回復を目指します。

精神療法

パニック障害の治療に用いられる精神療法は、「行動療法」と「認知療法」の2つを行って進められることが特徴です。
行動療法では、再発するパニック発作への不安を感じる予期不安をなくすためのトレーニングをし、避けていた場所に少しずつ慣れる練習をします。無理なくできる範囲でチャレンジを続けることによって、予期不安をなくすことができるでしょう。
次に、認知療法は出来事に対する捉え方や考え方の中で、好ましくない認知があった場合に修正を加えて治療をしていく治療法です。パニック障害で不安が大きくなると、日常の様々な出来事に対してマイナスな感情を持ってしまうことが増えてしまいます。マイナスな感情をプラスの感情に変える習慣を持つことで症状の改善に期待できます。

薬物療法

薬物療法では、症状に合わせて2種類の薬を適切に服用することにより、不安感や恐怖感を取り除いて症状を軽減させます。

1つ目は抗不安薬で、脳の誤作動を抑えて不安による発作を抑えるための薬です。パニック障害では、明確な不安要素がないにも関わらず脳が誤作動を起こしパニック発作を引き起こすので、脳の誤作動を正常にすることが最も重要となります。

2つ目の抗うつ薬(SSRI)は、精神を安定させるセロトニンが含まれており、不安や焦り、イライラなどの感情を抑えてくれます。たとえパニック発作を発症しなくなっても、不安があって人の多い場所にはいけないという方も多いです。抗うつ薬を服用してセロトニンが増えれば、パニック発作に対する不安な気持ちも落ち着いていくでしょう。
抗不安薬は即効性がありますが、抗うつ薬は効果が表れるまでに6〜8週間かかる場合もあるため、2種類の薬を併用する必要があります。薬物療法の効果が出始めると発作が起きにくくなりますが、発作がないからといって自己判断で服用を中止してはいけません。
勝手に服用をやめてしまうと症状が戻り、回復が遅れてしまうので注意が必要です。
ストレスや過労が原因でパニック発作を引き起こすパニック障害は、病院での精神療法や薬物療法によって症状を改善できます。
障害を乗り越えて働く方も多く、病院での治療に加えて従業員のメンタルケアを行うEAPや復職支援のリワークプログラムを活用すれば、不安を軽減させながら働くことができるでしょう。


その他の疾患
うつ病
強迫性障害
睡眠障害
適応障害
統合失調症
不安障害
双極性障害
月経前症候群(PMS)
うつ病
強迫性障害
睡眠障害
適応障害
統合失調症
不安障害
双極性障害
月経前症候群(PMS)